乾燥の季節

 

 

気の合う同担と会うことになって、最近の小島くんがどうだとか、最近の小島担がどうだとか、梅芸がクソだとかあれこれ喋りまくってストレスを発散しつつ結局諦められなくてその同担が見つけてくれたチケツイに光の速さで声をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

そのチケットは4日後手放した。

 

 

 

割といい席だったと気づいたのはその後だったけど、ツイートするやいなやダッとDMに連絡がきてびっくりした。普段なら絶対スルーするであろうなんだか日本語が怪しい人に譲ることにしたのはその時の気分でなんとなく。

 

 

その昼公演のチケを午前中に取引した。そのためだけに家を出るのは面倒だった。そのためだけに難波に行くのも面倒だった。改札を出て滞在時間僅か数分でウチに帰ったけど。

 

 

取引相手は韓国の人だった。そう思ったら日本語上手だなあ。「まさかどくんのファンなんですね」と声をかけると満面の笑みで「ソウナンデス!」って返ってきてちょっとほっこりした。ハロウィン前日だったからお菓子の詰め合わせをもらって心が暖かくなった。

 

 

 

 

 

ウチに帰って鞄から取り出したお菓子を机に置いた。「もうそろそろ公演だな」なんて思いながら小腹が空いてたけどそのお菓子には手をつけなかった。

 

 

相変わらず気分が晴れなくて、少し愛犬を腕枕して寝てみた。でも起きても心は晴れてなかった。愛犬は何も知らずに白目剥きながら寝てたけど、その顔を見ながらスマホを手探りした。

 

 

 

さっき取引した韓国人から「本当にありがとうございました😭」とのLINEが入っていて公演が終わったことに気づいた。なんとなくだけどきっとファンサをもらったんだろうな。

 

ふと机の上を見てお菓子を眺めた。

 

 

 

 

私は何と引き換えに何を手に入れたのかな

 

 

 

 

 

小島くんを捨ててハッピーハロウィン!と書かれたお菓子をもらったんだろうか。

 

そもそも私は小島くんを捨てたんだろうか。

 

そもそも私は何をどうしたかったんだろうか。

 

 

 

 

今その韓国人からもらったハロウィンのお菓子を食べている。どこにでもあるようなスタンダードのアメちゃんみたいに袋に包まれた四角いチョコレートが甘くて美味しい。袋を解く瞬間に胸が痛くなったことを忘れるくらい甘くて美味しい。甘くて少し酸っぱい。苦しい。恋の終わりみたい。絶望の味がする。

 

 

 

 

私は小島くんのことを嫌いになったわけではない。30日、前列から見上げた小島くんは何にも変わってなくて、相変わらずファンの顔は見ないわ、手の動きがおかしいわ、よくわからないところで笑うわで。頬のニキビ跡を全く隠さずステージに立ってた。

 

あの時、ファンサをする小島くんを見て胸がズキッとしたのは事実だ。今までまともにファンサなんてしなかったくせに。ハイタッチしまくって、ビバしまくって、ワイワイしやがって。どうしたんだよ一体。何がどうなったんだよ。焦ってんのか?なんて、本当はもっともっといろんなことを心の中で小島くんにぶつけたけど言葉悪いし書き込めるのはここまでになるなあ。

 

ファンサがこの決断のキッカケではないけど、ファンサをする小島くんを見て変わったなあと思ったのは事実だ。別のアイドルを見てるようだった。何か違和感を感じたのかな。手紙には「アイドルー!って感じになりましたね!」って書いたけど、そんなん一ミリも思ってない。「変わっていくことをなぜ、僕らは恐れるのかな?変わらないものを笑うくせに」って嵐が歌ってたけど、変わっちゃうと付いていけなくない?

 

 

 

 

 

 

だけど、時間はものを解決してくれる。

 

 

毎回毎回これだ。時間が解決してくれて、ファンサだけじゃなくいろんなことがあんなに辛かったのに今どうだってよくなってる。でもダメなんだよ。知ってるもん。僕知ってる。また同じように傷つくこと知ってる。

 

 

実際傷ついたのは今回が初めてじゃない。今までも割と傷つくことが多かった。だけどその度に乗り越えた。乗り越えたっつーか時間が解決した。

 

だけど結局どこかでいつも同じようにぶつかって、同じ結末になる。

 

学んだんだ何度も。

 

 

確かに学歴もよろしくない、成績だってよろしくない、頭は良くない、ちょっとだけ、一途に物事を追うことができるだけの人間だけど、それだけはもう、しんどいくらい分かっている。

 

 

全く後悔がなかったかと問われたら、なかった。アカウントを消し、たくさんのフォロワーと縁を切ったけど、その時はただひたすら小島くんや関西Jr.から目を背けたくて必死だったから後悔どころかスッッッッッキリした。

 

だけど時間は感情を変える。

 

 

働きながら思った。毎日がつまらないなと。当たり前にあったそれが、急になくなったんだもの。そりゃあつまらないよなって。なんなら惨めすぎて涙出た。オタクって余裕なさすぎだなって。自担が好きな気持ちだけじゃなくて、同担に負けたくないとか、そんなクッッッソしょうもないことで自分の意思とは別の行動を起こすし、本人にとってはひとつのファンサも何万人のうちの1人にした流れ作業でしかないし、そんなものに嫉妬して羨んでって、クッッッソしょうもない。ほんっっっとうしょうもない。神楽木かよ。

 

 

ただそういう気持ちになる未来も分かってた。きっとちょっと経てば毎日のつまらなさに後悔するだろうと。なぜ小島くんから離れたんだろうと、後悔することなんて分かってた。自分のそういう根暗な部分と向き合うのが怖かったのかな。だけど本当にあの時の自分はそうするかできなかったんだろうなあ。

 

 

 

 

この数日間、夜が明けるたびに、あんなにスッッッッッキリしていたはずの心が枯れていくような感覚に陥っている。大好きなコーラを飲んでも、お茶をがぶ飲みしても、すでに枯れているそれは一向に潤うことがない。

 

失った直後は大体こんなもんだろうと、そう思っているけど。

 

 

この数日間で「好きなものは多い方が楽しい」「人は幸せになりたいという割に、自分が幸せになれるのは何かを知らない」「同じことばっかり想像するより、明日のことは明日考えよう」「これも人生を彩る1ページになる」とかなんとかいろんな言葉を読んだ。こういうときってどんな言葉もダイレクトに刺さるよなあ

 

 

 

小島担に戻りたいかと問われたら戻りたいなと思う。それは表向きの方で。関西担をしていないと話せる人がいなくなるから。数年間ずっと小島担やってたんだもん、急にやめて次に行くっていっても、難しい。小島担やるのが一番楽。好きとか以前にそういう気持ちもある。いやむしろその気持ちが強い。

 

平成最後の冬は松竹座にいたいなとも思う。

 

 

 

嫌いになって、もうおめえみたいなやつはJr.辞めてあそびまくってろクソが!金返せ!って離れられたら話は別だったんだろうなと思う。まあ元担はそうだったんですけど。やっぱり好きな部分が圧倒的にあるから、いや、恋は盲目、好きな部分が圧倒的にあるから〜とかじゃなくてどんな姿もよく思うよね。そういう盲目なオタクは嫌なんだけど。

 

 

 

 あのシーンが頭をよぎると「あー離れてよかった」とも思う。だけどそれすらももうどうでもよくなってて。小島くんがどうしようが何しようがどうだっていいな。だからまた応援しようかな。いやでもまたきっと傷つくな。やめとこ、様子みよ、休憩しよって頭の中でループする。

 

 

ハア……書いてて思う。何が言いたいんだろうか(笑) 

 

 

スッッッッッキリした気持ち、それは嘘ではなくて、もう何も悩まずに済むのか!お金使わなくて済むのか!何も追わなくて済むのか!義務感でツイートしたりせずに済むのか!そう思うと本当にスッッッッッキリしたし、解放感があったのは事実だ。いろんなことに支配されてたことに気づいた。お金がやたらと余って、ほしかった高いワンピースもコートも買った。オタクをやめるとこんなにメリットがあるのか。オタクやってた時は気づかなかったけど、恋は盲目、周りが見えなくなる。あんなにお金を使っていた自分が怖くなる。一気に周りが見えて恐怖に襲われた。オタクの考えは本当に怖かった。

 

 

 

だけどその高いワンピースを着て向かうのはきっと、結局、現場だろうなあと思う。 

 

 

 

いいチケットを売ったせいか、小島くんを失ったせいか、居場所を失ったせいか、乾燥の時期だからか、心はサハラ砂漠のように水分を持たずに枯れている。

 

 

 

高いワンピースを着ても、かっこいいコートを着てもきっとそれが潤うことはなくて。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしたら潤うかなんてわかってるのに、動けないでいる。

 

 

 

寒い冬のせいかな

 

 

 

 

 

 

 

 超極暖のヒートテックを買ったのは、今年の年始のあの寒い朝を思い出したからだ。

 

 

 

 

 

 

枯れきった心はもうこれ以上枯れることはないけれど、せめてこれ以上荒れないように張り付いている悲しみ妬み嫉み寂しさつまらなさ怒りを綺麗に洗い流して、たくさんの乳液で保湿しよう。小島くんの頬も一緒に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

潤いますように